熊本地震緊急企画
7月23日(土)9:30 ~ 11:30 A会場
自らが被災者になった時、何を、どのように取り組むかを考える
〜熊本地震での教訓を今後に生かすために〜
座長
伊藤雅浩(熊本大学大学院生命科学研究部)
碓井外幸(東京国際大学・日本運動生理学会会長)
熊本地震の発生から3ヶ月が経とうとしている。余震の数は1,800回を超え、依然として気象庁は警戒を呼びかけている。熊本地震の特徴は、28時間に2つの大きな揺れ(震度7)が発生したことと、大きな余震が数多く(震度5以上17回)発生したことである。特に、2回目の本震は多くの住民が前震の後処理に追われ、日常業務への再開の見通しを図っていた中で発生したため、大きな混乱と失意を招いた。死者49名、行方不明者1名、関連死20名(肺血栓塞栓症6名を含む)、重傷353名、軽傷1,302名、そして入院を必要と診断されたエコノミークラス症候群は50名を超えた。
避難所生活を余儀なくされた被災者にとって、エコノミークラス症候群は深刻な問題であった。避難所では大人数で身動きがとれない上に、飲料水の不足や避難所におけるトイレ問題(少ない,汚ない,段差がある)による水分摂取行動の抑制、ならびにストレスによる交感神経緊張などが静脈血流のうっ滞や血液凝固亢進に拍車をかけた。さらに、多発する一連の余震は、被災者に大きな揺れに対する恐怖心をあおり、避難所のみならず至る所でおびただしい数の車中泊をもたらし、この事態を深刻化させた。2ヶ月が経過した6月でさえ575名が車中泊を継続し、避難者数は6,211名にのぼる。
そういった状況の中で、我々は自らが被災者である身を、また家族の安全を先ずは確保しながら、救命をはじめとした様々な事態の収拾に当たらなければならなかった。そこで今回は、自らが被災者でありながら、様々な事態に対応された次の5名の方にそれぞれの立場から、被災地や被災者の状況、震災時の取り組みや課題、そして今後の展望などを話していただくことにした。そこから、今回のテーマである「その時、何を、どう当たるか」を考え、今後の課題として震災以前から取り組める具体的対策を検討する機会としたい。
- 1)坂本憲治氏(熊本市民病院循環器内科):血栓塞栓症予防プロジェクトの活動
- 2)都竹茂樹氏(熊本大学政策創造研究教育センター):被災地で生かす疫学研究
- 3)藤井可氏(産業医):行政職員の心の健康調査
- 4)未 定 (行政職員):町の被災状況の掌握と沈静化への道筋
- 5)中嶋朋子氏(菊南病院、健康運動指導士):被災現場の継続的支援と自立